= あるえ物語 =
読書と神話、ときどき雑記 童心の権化あるえのブログ
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【北欧神話9】「ヘイムダルの子ら」 リーグの詩に纏わる話

 

北欧神話小話

この「ヘイムダルの子ら」というケニング(代称法)は、『巫女の予言』(古エッダという文献の一節)のみに見られる。『リーグの詩』が後世に残らなければ、なぜ人間がそのように呼ばれるのか不明のままだったろう。

 

ども、あるえです。

まず報告ですが、今朝方当ブログがIPアドレスが取得できずアクセス不可となっておりました。ご迷惑をおかけしました。

どうやら独自ドメインを取得した際にお名前.comでメール認証を見逃していたらしく2週間が経ってアクセス不可となったようです。本気で焦りました。

ぐぐったらこの現象、つまりメール認証がされてないという事が判明し、アクセス不可が無事解除されました。良かった良かった。

さて、今日は「ヘイムダル」に関する話をしたいと思います。

【北欧神話8】でも登場し、トールに女装を提案したヘイムダル。また小話でも説明したようにビフレストの門番でもあり、その手にもつギャラルホルンでラナグナロクを告げる神で有名です。私の勝手なイメージですがどこかおっとりしていて、掴みどころが無いが、秘めた力は強いそんな不思議ちゃん的な存在です。

www.ales-story.com

彼には人間とも深い関わりがあるのをご存知だろうか?今回はヘイムダルと人間との関わりのお話です。

階級制の始まり

主な概要としてはヘイムダルがアースガルズからミズガルズに渡り自身を「リーグ」と名乗り、人間の世界を回り今までなかった「奴隷」「農民」「貴族」などの社会階級を作った。というものとなります。

北欧神話において、人間は初期の段階で登場しており、この経緯は【北欧神話2】で説明した通りオーディン、ヴィリ、ヴェーの3柱の神が浜辺に落ちていた流木から人間を作ったといったという内容です。

www.ales-story.com

当時、人間には社会的階級がありませんでした。今回の旅は、そもそもの目的が判明していませんがヘイムダル自身が「人間に社会階級を作ろう」と思ったのか、もしくはオーディンから命じられて行われたものなのかは不明です。

オーディンら兄弟に作られた人間たちが「ヘイムダルの子ら」と呼ばれることがあるのは今回の旅が起因していると思われますが、通説ではオーディンの子となっているヘイムダル自身、実はオーディンより古い時代の神という説があったり、このヘイムダルという神は謎が多い神でもあるんです。なので私の中では不思議ちゃんなんでしょうね(笑)

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ヘイムダル

とは言え、ヘイムダルが旅に出ている間ビフレストの見張りはどうするんだって話ですが、彼はギャラルホルンをミーミルの泉に置いてきて、「リーグ」と名乗って人間界に渡ることにしたと記されているだけです。

最悪誰かがギャラルホルンを持ちいて知らせる事ができるようにしたという配慮なのか、オーディンのフギンとムギンというカラスに見張らせていたのか、そもそもリーグと名乗ったのはヘイムダルが不在だと隠す為だったのか、これに関しては想像の域を脱する事はできません。

そんな経緯の元、彼はミズガルズに降り立ちます。

奴隷階級の誕生

ある日リーグはとあるあばら家で老夫婦アーイ(「曾祖父」の意)とエッダ(「曾祖母」の意)に出会います。彼らの元で3晩宿泊したくさんの助言をしました。その後エッダが生んだ息子スレール(「奴隷」の意)は体が頑丈で逞しく育ちます。

その後、他から女性スィール(「下女」の意)が来て結婚し、夫婦は多くの子供を得た。これが奴隷(スレール)の発祥です。

農民階級の誕生

リーグが次に訪れたのはアヴィ(「祖父」の意)とアンマ(「祖母」の意)夫妻の暮らす農場です。彼らの元でも3晩宿泊し、彼らにたくさんの助言をしました。その後アンマが生んだ息子カルル(原義は「自由農民」)は牛の扱いや、農具の作り方、小屋や納屋の建て方を覚えました。

彼の元にはスネール(「嫁」の意)という女性を招きいれ結婚し、夫婦は多くの子供を得ます。これが農民の発祥でした。

貴族階級の誕生

最期にリーグが訪れたのはファジル(「父」の意)とモージル(「母」の意)夫妻の住む立派な館です。彼らの元でも3晩宿泊したくさんの助言をしました。その後モージルは息子ヤルル(「王侯」の意)を生み、彼は槍や盾、弓や剣など武術や狩りの技術を覚えました。

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リーグ

ある日ヤルルの元にリーグが訪れ、自分の名前を与えて後継者にします。(リーグは「王」という意味。)またルーン文字も教えました。ヤルルはさらに周囲の国を攻めて支配下にしますが、多くの者に自分の財産を惜しみなく分け与えました。やがてエルナ(「器用な女」の意)という娘と結婚し、ブル(「息子」の意)をはじめとする多くの子供を得ました。彼らが貴族(ヤール)の発祥となりました。

夫妻の末の息子はコン(「末裔」「息子」の意)という名で、彼は多くのルーン文字を知っており、自身もリーグと称したとされています。

あとがき

何故階級が必要だったのでしょうか・・・それは繁栄の為か、秩序の為か、はたまた争いを起こしてエインヘリャルを獲得する為か。

作るにしてもなぜ下の身分から作ったのか。よくある話では統制力を得るがためにより下の身分を作るのが基本です。

今回の話はたんたんと語られる事が多いのでその分、想像が膨らみます。

私の仮説ですが、神々の中にも役割は存在しました。そんな自分達の中にも存在する階級を箱庭の中の人間にも与えようと考えたのではないでしょうか。子供がお人形ごっこで実生活を人形に演じさせるように。

下から作ったのは上記の理由を考慮すればこれ以上の階級を人間が勝手に作れないようにしたから・・・と考察します。そう、完全に自滅しない程度の秩序と混沌を与えた。

または、奴隷は曽祖父、農民は祖父、貴族は父の流れからして、最初はみな奴隷であり、そこから農民、貴族が代が移り派生した。つまり人間は欲を持ち、何かを成しえ、成り上がることのできる、成長を伴った人種であることを示唆しているのでしょうか?

今回は以上となります。考察回でしたがあくまでこれは私の捉え方であり、これらの物語から何を感じるかは千差万別でしょう。だからこそ面白いのですがね(笑)

 

ではまた♪

 

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※神話の内容につきましては諸説あります。この記事の内容はあくまで私の得た知識から成り立つものとなりますのでご了承くださいませ。