= あるえ物語 =
読書と神話、ときどき雑記 童心の権化あるえのブログ
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黒ク染マッタ心ノ定規

 

とある男がいた。

 

人当たりが良く、顔もそれなりに整っている。

 

幼い頃はどちらかといえば、いじられキャラで

 

中学生後半まで女性に興味すら無い奴だった。

 

でも高校生くらいから何かが狂い始めた。

 

男は何かを失うことを極端に恐れた。

 

「こいつは私が好きだから振れない」

 

女にそんな目で見られた。

 

次第に「便利な男」扱いを受けた。

 

男はさらに狂った。

 

一番仲の良い友達がやがて結婚した。

 

男は何かを失った感覚に陥る。

 

さらに愛に飢えた。

 

結果待っていたのは裏切りと狂気の連鎖。

 

この頃には振る事にも抵抗は無くなった。

 

男は思う

 

そもそも恋愛とは何だ?

 

感情か?

 

欲か?

 

習性か?本能か?

 

自己満足か?

 

違う。

 

 

 

損得勘定でしかない。

 

相手が自分にとって得なのか

 

損なのか・・だ。

 

感情をそがれ続け、磨り減った

 

心の定規を彼は黒く染める。

 

男はもう、迷わない。

 

道を、踏み外すこともない。

 

彼が描いた直線を歩き続けるのだから。

 

 

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唐突の闇ノベル

皆さんそろそろ夏本番ですよ。

こんな季節はホラーノベルが読みたくなるもんですね。

しかし、ほんと恋愛ってなんだろう(笑)

そんなことを考える時間すら無駄に感じるので

私は深く考えませんが、幸せが

皆さんに溢れることを願う。

 

【北欧神話10】首飾りブリーシンガメンを巡る物語

 

北欧神話小話

スノッリ・ストゥルルソンは、アイスランドの詩人・政治家・歴史家(著述家)である。ノルウェー王朝の歴史『ヘイムスクリングラ』や『スノッリノエッダ』の著者としても知られている。優れた学者であったが、権勢欲、名誉欲の強い野心家でもあった。

 

ども、あるえです。

今回は引き続きヘイムダル、とフレイヤ、ロキが関係する話です。

この話は北欧神話の中でもあまり有名な話ではないし正直1記事にするか迷うほど短い話なんですが、とある伏線が張られている為どうしても取り上げたくて記事にしています。

あと色々理由もあって今更ながらですが、北欧神話にはいくつかの文献がありこれらについても触れたいと思います。物語が読みたい方は目次から飛ばしてお読みください。

北欧神話の文献と私の記事の方向性

 先述したように北欧神話はあらゆる場所であらゆる人物がその伝承を記述として残しています。代表的なものでは「古エッダ」「スノッリのエッダ」があげられますね。

「古エッダ」は9世紀から13世紀にかけて成立したとされ17世紀に発見された北欧神話について語られた写本。「王の写本」をその根底としており主に北欧神話や北欧の英雄伝説について語っている。また「詩のエッダ」とも呼ばれています。

それに対し「スノッリのエッダ」は1222年ごろにアイスランドの詩人スノッリ・ストゥルルソンが著した詩の教本です。若手詩人たちに北欧神話と詩の技法を教授する目的で書かた、いわば北欧神話を題材とした教科書のようなもので、失われたエッダ詩も数多く含まれており、この本なくして北欧神話を現代に復元することはほぼ不可能であったと言われるほどです。

どちらにも共通する話や食い違う部分があったりします。

スノッリのエッダの表紙

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またその他「フラート島本」「王の写本」「サガ」「スカルド詩」等、数多くの文献が発見されており、これらはだいたい9世紀~13世紀に作成され、互いの影響を受けたり、派生したりしている。

さて、では私は北欧神話を記事にするに当たりどうしたものかと思いましたが、結局何かひとつに捉われるのではなく。色んな文献を繋ぎ合せて物語として記事を書く方向性に決めました。なるべく矛盾しないように。

こういった経緯があり「古エッダ」や「スノッリのエッダ」「スカルド詩」等の内容がごちゃ混ぜになっている為、知っている人からしたら・・・???となるかもしれませんが、「あるえが勝手に繋ぎ合わせた北欧神話の物語」として捉えていただけると幸いです。

今回やトールとヨルムンガンドの話のように違う内容で語られている場合はなるべく注釈は入れていきます。以上が参考文献と私の記事の方向性の話です。

首飾りブリーシンガメンの物語

まず反省点から先に述べます、本来この記事はもっと早く書くべきでありました【北欧神話8】ですでにフレイヤの首飾りのことが触れられていますが、この記事はその首飾りを手にするところから始まります。その点ご容赦ください。 

ヴァン親族との戦争が終わり一時平和になったアースガルス。かの戦争の代償としてアースガルズへ送られたフレイヤも皆に愛されながら、幸せに生活していました。

ある日フレイヤは王宮近くの岩の奥の洞窟に立ち寄ります。そこにはアールヴリッグ、ドヴァリン、ベルリング、グレールという4人のドワーフが住んでいました。彼らは素晴らしい技術を持っており何でも作ることができました。

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フレイヤが中に入ると、ドワーフ達が黄金の首飾りを鋳造して仕上げをしているのが見えました。フレイヤは首飾りがとても気に入って買い取りをもちかけますが、ドワーフ達は金銭よりもフレイヤのからだを希望したのです。

フレイヤは彼らのそれぞれと一夜を共にするしかありませんでしたが、その代償としてドワーフたちは彼女に首飾りを与えたのです。

しかしこの一連の出来事をロキに見られてしまい、フレイヤが寝ている隙にロキは蝿に変身して館に侵入し首飾りを盗んでしまいます。

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今度はそれを見ていたヘイムダルが首飾りを取り戻そうと雲や熊に変身してロキと闘います。最後にヘイムダルは自分をアザラシの姿に変え、ヴァーガ岩礁とシンガ岩において、アザラシの姿のロキと一戦を交え、長い戦いの末にロキを打ち負かし、ブリーシンガメンを取り戻しフレイヤに返上することができた

ヘイムダルに対するケニング「ロキの敵」「フレイヤの首輪の探し手」、ロキに対する「巨人と山羊とブリーシンガメンとイズンのリンゴの盗人」はこの出来事に基づいています。

この二人の戦いが後の出来事の伏線となります。

あとがき

 この物語は「フラート島本」と「スノッリのエッダ」では少し話が違います。

「フラート島本」では首飾りを手にするところから始まりロキの告げ口によりフレイヤとドワーフの間に起きたことを知ったオーディンが激怒し(フレイヤがオーディンの側室という事になっている為)ロキに盗むよう命じ、フレイヤに返して欲しくば呪文によって人間の英雄王2人を永久に敵対させ戦わせるよう命じている。

一方「スノッリのエッダ」では首飾りの製造やドワーフとの間にあっとことは書かれておらず、ブリーシンガメンは一度盗まれたことがあり、それはロキによる悪戯でヘイムダルが彼との一騎打ちにより取り返した。という流れです。

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ですので手にする場面に関して触れなければ、別段これまでの記事との繋がりは悪くはなかったのですが、それだと極端に話が短くなるし、「フラート島本」に込められた表面的な皮肉を超えた「悪知恵」としてのロキの記述、大きな位置を占めているフレイヤの性的資質のあからさまな表現を捨てきることができず、この記事を作成するあたり製造から手にする話に関しては「フラート島本」を、その後の出来事に関しては「スノッリのエッダ」を参照しています。

愛ゆえに、そして間違った知識は共有したくないので解説多めとなりましたがブリーシンガメンの話は以上となります。

 

では、また次の記事で♪

 

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※神話の内容につきましては諸説あります。この記事の内容はあくまで私の得た知識から成り立つものとなりますのでご了承ください。

【北欧神話9】「ヘイムダルの子ら」 リーグの詩に纏わる話

 

北欧神話小話

この「ヘイムダルの子ら」というケニング(代称法)は、『巫女の予言』(古エッダという文献の一節)のみに見られる。『リーグの詩』が後世に残らなければ、なぜ人間がそのように呼ばれるのか不明のままだったろう。

 

ども、あるえです。

まず報告ですが、今朝方当ブログがIPアドレスが取得できずアクセス不可となっておりました。ご迷惑をおかけしました。

どうやら独自ドメインを取得した際にお名前.comでメール認証を見逃していたらしく2週間が経ってアクセス不可となったようです。本気で焦りました。

ぐぐったらこの現象、つまりメール認証がされてないという事が判明し、アクセス不可が無事解除されました。良かった良かった。

さて、今日は「ヘイムダル」に関する話をしたいと思います。

【北欧神話8】でも登場し、トールに女装を提案したヘイムダル。また小話でも説明したようにビフレストの門番でもあり、その手にもつギャラルホルンでラナグナロクを告げる神で有名です。私の勝手なイメージですがどこかおっとりしていて、掴みどころが無いが、秘めた力は強いそんな不思議ちゃん的な存在です。

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彼には人間とも深い関わりがあるのをご存知だろうか?今回はヘイムダルと人間との関わりのお話です。

階級制の始まり

主な概要としてはヘイムダルがアースガルズからミズガルズに渡り自身を「リーグ」と名乗り、人間の世界を回り今までなかった「奴隷」「農民」「貴族」などの社会階級を作った。というものとなります。

北欧神話において、人間は初期の段階で登場しており、この経緯は【北欧神話2】で説明した通りオーディン、ヴィリ、ヴェーの3柱の神が浜辺に落ちていた流木から人間を作ったといったという内容です。

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当時、人間には社会的階級がありませんでした。今回の旅は、そもそもの目的が判明していませんがヘイムダル自身が「人間に社会階級を作ろう」と思ったのか、もしくはオーディンから命じられて行われたものなのかは不明です。

オーディンら兄弟に作られた人間たちが「ヘイムダルの子ら」と呼ばれることがあるのは今回の旅が起因していると思われますが、通説ではオーディンの子となっているヘイムダル自身、実はオーディンより古い時代の神という説があったり、このヘイムダルという神は謎が多い神でもあるんです。なので私の中では不思議ちゃんなんでしょうね(笑)

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ヘイムダル

とは言え、ヘイムダルが旅に出ている間ビフレストの見張りはどうするんだって話ですが、彼はギャラルホルンをミーミルの泉に置いてきて、「リーグ」と名乗って人間界に渡ることにしたと記されているだけです。

最悪誰かがギャラルホルンを持ちいて知らせる事ができるようにしたという配慮なのか、オーディンのフギンとムギンというカラスに見張らせていたのか、そもそもリーグと名乗ったのはヘイムダルが不在だと隠す為だったのか、これに関しては想像の域を脱する事はできません。

そんな経緯の元、彼はミズガルズに降り立ちます。

奴隷階級の誕生

ある日リーグはとあるあばら家で老夫婦アーイ(「曾祖父」の意)とエッダ(「曾祖母」の意)に出会います。彼らの元で3晩宿泊したくさんの助言をしました。その後エッダが生んだ息子スレール(「奴隷」の意)は体が頑丈で逞しく育ちます。

その後、他から女性スィール(「下女」の意)が来て結婚し、夫婦は多くの子供を得た。これが奴隷(スレール)の発祥です。

農民階級の誕生

リーグが次に訪れたのはアヴィ(「祖父」の意)とアンマ(「祖母」の意)夫妻の暮らす農場です。彼らの元でも3晩宿泊し、彼らにたくさんの助言をしました。その後アンマが生んだ息子カルル(原義は「自由農民」)は牛の扱いや、農具の作り方、小屋や納屋の建て方を覚えました。

彼の元にはスネール(「嫁」の意)という女性を招きいれ結婚し、夫婦は多くの子供を得ます。これが農民の発祥でした。

貴族階級の誕生

最期にリーグが訪れたのはファジル(「父」の意)とモージル(「母」の意)夫妻の住む立派な館です。彼らの元でも3晩宿泊したくさんの助言をしました。その後モージルは息子ヤルル(「王侯」の意)を生み、彼は槍や盾、弓や剣など武術や狩りの技術を覚えました。

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リーグ

ある日ヤルルの元にリーグが訪れ、自分の名前を与えて後継者にします。(リーグは「王」という意味。)またルーン文字も教えました。ヤルルはさらに周囲の国を攻めて支配下にしますが、多くの者に自分の財産を惜しみなく分け与えました。やがてエルナ(「器用な女」の意)という娘と結婚し、ブル(「息子」の意)をはじめとする多くの子供を得ました。彼らが貴族(ヤール)の発祥となりました。

夫妻の末の息子はコン(「末裔」「息子」の意)という名で、彼は多くのルーン文字を知っており、自身もリーグと称したとされています。

あとがき

何故階級が必要だったのでしょうか・・・それは繁栄の為か、秩序の為か、はたまた争いを起こしてエインヘリャルを獲得する為か。

作るにしてもなぜ下の身分から作ったのか。よくある話では統制力を得るがためにより下の身分を作るのが基本です。

今回の話はたんたんと語られる事が多いのでその分、想像が膨らみます。

私の仮説ですが、神々の中にも役割は存在しました。そんな自分達の中にも存在する階級を箱庭の中の人間にも与えようと考えたのではないでしょうか。子供がお人形ごっこで実生活を人形に演じさせるように。

下から作ったのは上記の理由を考慮すればこれ以上の階級を人間が勝手に作れないようにしたから・・・と考察します。そう、完全に自滅しない程度の秩序と混沌を与えた。

または、奴隷は曽祖父、農民は祖父、貴族は父の流れからして、最初はみな奴隷であり、そこから農民、貴族が代が移り派生した。つまり人間は欲を持ち、何かを成しえ、成り上がることのできる、成長を伴った人種であることを示唆しているのでしょうか?

今回は以上となります。考察回でしたがあくまでこれは私の捉え方であり、これらの物語から何を感じるかは千差万別でしょう。だからこそ面白いのですがね(笑)

 

ではまた♪

 

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【旧約聖書1】天地創造とエデンの園の物語

 おはよーございます、あるえです。

今日から旧約聖書の話について触れていきたいと思います。厳密には神話という扱いではないですけどね・・・けど意外と知ってるようで知らない人もいるんじゃないかなー?

ノアの箱舟やバベルの塔、モーセと十戒、約束の地カナンなんかも旧約聖書の話です。

旧約聖書と神約聖書の違い

まず二つ共につく「約」とは何か?「約」は「契約」とか、もっと平たく言うと「約束」という意味がある。これらは一人でするものではない。つまり基本的には相手が必要です。じゃあ聖書の「契約」は誰と誰が結んでいるのだろうか。答えは「人間」と「神様」です。

「旧約聖書」はイスラエル民族(のちのユダヤ人)の歴史が記してある。つまり、イスラエル民族の歴史におけるノンフィクションの内容に脚色して物語にしたもの、それが旧約聖書です。それに対して「新約聖書」はイエス・キリストの生涯を弟子がまとめた「4つの福音書」を根幹として、イエス・キリストの教えをパウロがまとめたものとなります。

今回は旧約聖書における天地創造からエデンの園追放までのお話です。

創世記:天地創造

「はじめに神は天と地を創造された」と始まる天地創造物語です。神が最初に創造したのは光でした。二日目に神は大空を造り、大空の上と下とに水を分け、三日目には下の水を一カ所に集めて陸地を出現させ、そこに草と木を芽生えさせました。

四日目には大空に輝く天体を創造して、時間の秩序を確立させます。五日目に水の中で生きる動物と空を飛ぶ鳥を、六日目に陸上の生き物を造ります。そして最後に人間を「男と女」に創造しました。

これらが全て美しく造られたことを目にした神はこれに満足して、七日目を安息の日にした、というのです。こうして天地万物が創造され、安息を含む世界の秩序が定まりました。

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光と闇の分離

この物語をもとにして古代イスラエルでは、六日間働き七日目を安息日としました。安息日には、誰もどんな仕事もしてはならないと定められます。いわゆる七耀制の始まりです。この七耀制は、のちにキリスト教に、さらにイスラム教に引き継がれて、今の私たちの暦にも反映されています。ずいぶんと昔だったんですね。

 

創世記:エデンの園

神ヤハウェは大地の塵をもって最初の人間を形づくり、エデンの園に住まわせました。「大地」のヘブライ語はアダマー、「人間」はアダムです。文字通り、アダム「人間」はアダマー「大地」から造られたのです。アダムは最初の人間の名前ともなりました。

エデンの園は豊かな川が流れる潤いのある場所として描かれています。神はそこに、実を食べるに適したあらゆる木々を、その中央には「生命の木」と「善悪を知る木」を生やします。この二本の木が、後に、人間がエデンの園から追放される原因となります。

神はある時、人間にこう命じます。園のすべての木からとって食べて良い。ただし、「善悪を知る木」からは決して食べてはならない。食べると必ず死んでしまう。これはいわゆる「見るな」のタブーの一例です。ある行動を禁止し、約束を破ったほうが不幸になるという世界各地の神話や伝説に現れるモチーフです。

さらに神は、人間が一人でいるのはよくないと考え、人間と同じように動物たちを形づくり、人間のところに連れてきます。しかし、その動物の中に「彼と向き合う助け手」は見出せませんでした。そこで神は、人間を深く眠らせ、肋骨(ろつこつ)一本を抜き取って女性を形づくり、彼に出会わせます。すると、彼は言います。
 
「これこそ、わが骨の骨、肉の肉。彼女は妻と呼ばれる、夫から取られたのだから」

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蛇に唆される二人

神によって創造された生き物の中で最も賢かったのは蛇です。この蛇が妻に語りかけ、園の中央にある木の実を食べるように誘惑します。この木の実を食べると、人は神のように善と悪を知るようになる。それゆえ、神はこれを食べることを禁じたのですよ、と妻をそそのかすのです。この蛇は神と敵対していた堕天使ルシファーやサタンであったとも言われています。

彼女は手を伸ばして、その木の実を取り、傍らにいた夫にも与えました。それを食べた二人は、自分たちが裸であったことに気づき、無花果の葉で腰帯を造りました。夕方になり、園に神の足音が響くと、二人は慌てて、木の間に隠れます。

「あなたはどこにいるのか」と神から呼びかけられ、「裸なので、身を隠したのです」と答えた。夫アダムは、続く神からの追求に、責任を妻に転嫁しました。妻のほうは、蛇に欺かれました、と弁明しました。

そこで神は、はじめに蛇に向かって、お前は地上の生き物の中でもっとも呪われる、と宣言します。次いで妻に、あなたは労苦の中で子を産むことになる、と告げます。最後に夫アダムに向かって、「大地はあなたのゆえに呪われる。あなたは顔に汗して、食物をえなければならない。あなたは塵だから、塵に帰る」と伝えます。

子を産む大変さ、働かずしては生きてはゆけぬという概念が既にあったと言うことでしょう。

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追放されるアダムとイヴ

こうして、アダムと妻はエデンの園から追放されるのですが、その際、神は二人に「革の衣」を与えました。その折、妻は夫アダムからイヴという名前で呼ばれます。二人を追放した後、神は園の東の入り口に「ケルビム」という聖獣と「回る炎の剣」をおき、 二人がエデンの園に戻って、中央にある「生命の木」を食べることのないようにした。

あとがき

シンプルに物語として纏めると以上になります。人間はいつの世も傲慢で好奇心旺盛だったんですかね~。もっと天使達が大きく関わるのかと思えば記述はあるけどそんなに絡みはないんですよね。ミカエル、ラファエル、ガブリエルの三大天使にウリエルを足した4大天使、や7大天使それはまたいずれ紹介したいと思います。

次回はアダムとイヴの子供たちの話となります。

 

では、また♪

【禁煙生活】1日目 自制心を鍛える為にも・・・

 

ども、あるえです。

唐突ですが、禁煙始めます。

二十歳の頃から約9年間タバコをくわえてきました。

今も習慣的に吸っていて1日1箱のスモーカーです。

これまでに幾度か禁煙は試しました。

ニコレット、アイコス、電子タバコ・・・

目的意識や自制心の低さゆえに全て失敗しています。

 

なんとなくお金がもったいないから

そんな世の中になりつつあるから

 

なんて曖昧な目的では達成する事はできませんでした。

 

じゃあ今になって何故って話ですが

少し前から口腔内を負傷しており、そのせいで歯も痛み

食事も美味しくいただくことが出来ません。

これは私にとって苦痛極まりないです。

 

加えて先週の金曜日の晩から土曜日の朝方にかけて

免疫力低下に伴い口腔内に腫れが出来てしまい

壮絶な痛みに襲われ、悶絶し、まさに生き地獄を味わいました。

右顔面が割れて砕けるんじゃないかと思うほどの痛みには

市販の鎮痛剤もただ胃を荒らすだけの効果しかありませんでした。

医者に行った際も、麻酔も効きませんでしたので

治療も激痛を伴うものとなりました。

 

馬鹿は痛い目みないとわからないと言いますが、まさにそれ。

なんとかなるさ精神なんて今となっては言い方悪いですが

くそ食らえってやつですね。

 

やっとわかりましたよ。

医者にも禁煙か、少なくしなさいと言われました。

意思の弱い私は手元にあれば、あるだけ吸います。

減らすなんてのは手元にある限り無理です。

自分が一番良く分かっています。

 

ですので「やめる」という選択肢を選びました。

当然、経済面にも効果はありますが

あくまで経済面の話は付帯効果としかとらえないようにします。

なにより自分の身の安全、健康の方が大事だと思い知りました。

ほんと今更ですよ。

 

しかしがむしゃらに始めても失敗するのは目に見えてます。

もういっかとタバコをくわえる自分が容易にイメージできます。

そこで、ブログを活用しようと考えました。

日記を付けることで日々達成感を味わうことができ

これなら続くんじゃないかと思ったからです。

 

意思の弱い私にとってニコチンはほぼ麻薬です。

気づいたら求めてます。気づいたら火を付けてます。

無意識なんですよ。それを意識的にねじ伏せるんです。

最初は離脱症との闘いになるでしょう。

次点で吸わない自分のイメージ作りです。

 

こんな私が、禁煙する中で何を感じ何を思うのか

日記として記録していきたいと思います。

 

甘いですね、皆さんに証言者になってもらわないと

成功する自信がないんですから。

そんな自身の自制心の低さに辟易しますが

あたたかく見守っていただければ幸いです。

 

神話の話とは余りにもかけ離れた現実的な話になりますが

ご容赦下さい。

 

2019/7/9 あるえ ここに誓う。

【北欧神話8】ミョルニルとドレスとトールの奇譚な女装物語

 

北欧神話小話

豊饒の女神フレイヤには人間や神々の中にも多くの愛人がいたという。特にお気に入りだったのが人間の男性オッタルで、彼を猪に変身させてそれに乗って移動することもあった。そのため、夫オーズに去られている。行方不明になった夫を捜して世界中を旅する間に流した赤い涙は、地中に染み入って黄金になり、黄金はフレイヤの別名から「マルデルの涙」と呼ばれる。

 

 

おはようございます。ここ最近、投稿時間が遅がけとなってしまっていましたので今日は朝から頑張ります!

本日も引き続きトールさんのお話となります。今回はトールさんの大切な大切な金槌ミョルニルが盗まれてしまうという事件がきっかけでの北欧神話におけるコメディ劇場といったところでしょうか。北欧神話好きな人にとってはこの話は割と有名です。

さぁ舞台は神々の地、アースガルズ。豪腕トールに降りかかる災難とは如何に??

盗まれたミョルニル


ああああああああああああっ!!!?

トールは目が醒めたとき大変な事態に気づき絶叫します。なんと、彼の宝であるミョルニルが盗まれていたのだ。ミョルニルと言えばどんな敵も打ち倒し、山をも砕き、時にに祝福を授けるいわゆる神具だ。これがないとトールの戦力が落ちるのは当然。今巨人に襲われれば苦しい戦いになってしまう。

トールやミョルニルの記事はこちら↓

www.ales-story.com

盗んだのは巨人だと断定しトールの怒りが込み上げた。なんとしても取り返さなくてはならない。トールは頭がいいロキにミョルニルの事を相談します。二人はしばらく悩んだあとロキがフレイヤを尋ねてみようと言います。

ロキは「フレイヤ、ミョルニルが盗まれたのでヨトゥンヘイムへすぐに行きたい。あなたの鷹の羽衣を貸してください。お願いします。」とフレイヤに頼んだ。彼女はミョルニルが巨人の手に渡ったら大変だとOKの返事をした。(身につけると鷹になれる羽衣)

フレイヤについての記事はこちら↓

www.ales-story.com

ロキはフレイヤの羽衣を使って巨人の国に急行します。ロキが尋ねたのは巨人の王スリュムの館だ。ロキはスリュムに会うとすぐにミョルニルを盗んだのかと単刀直入に問います。(ロキは巨人族と精通していて、割と仲が良い)

するとスリュムは「その通り、俺が隠した。フレイヤを我が妻とすれば返してやろう。」と言った。ロキはこれを聞きすぐに神々に報告した。

フレイヤは激怒します。彼女の怒りは壁が震え、長イスは揺れ、彼女の宝物のブリージングの首飾りが弾け飛ぶ程だった。(そりゃそーだ、と言いたいがやはり美し過ぎるのも罪なものだ)

ヘイムダルの提案


アースガルズの神の中で激しい議論が繰り広げられますが、中々良い意見が出ない。そんな折、アース神族のひとりヘイムダルが静かに口を開き始めた。

「トールを花嫁姿に変装させるんですよ。美しい宝石をいっぱいつけて、花嫁頭巾をかぶせて。ウエディングドレスを着せて、もちろんフレイヤのブリージングの首飾りをつけて。美しいトールにするんだ。」

ヘイムダルの言葉に神々は一瞬静まり返った後、ヘイムダルとトール以外は大爆笑した。腹を抱えて転げ落ちる者もいた。トールは青ざめている。ヘイムダルは尚、真面目な顔をして話を続けます。

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ロキを迎えるスリュム

「とにかくトールをきれいな花嫁にして彼をフレイヤとしてスリュムのもとに送り込み、スキを狙ってミョルニルを取り返すんだ。」

トールは雷鳴のような声で怒ります。どうも不服な様子だ。(そりゃそーだ)

ロキやヘイムダルはこう説得した。「では、ミョルニルはずっと巨人のものになるわけで、巨人がそれを使って攻めてきたら、我々はかなりの損害を受けることになるな。」

これを言われたらトールも文句が言えない。渋々決意します。みんなで協力してトールを美しい花嫁姿にした。きれいな宝石、白いウエディングドレス、フレイヤの首飾りをつけ、自慢の髭もそった。

結果、トールはこの世のものとは思えないほどの美しい花嫁になった。そんな馬鹿な。

そして侍女に変装したのはロキである。

花嫁トールと侍女ロキの策略


スリュムはフレイヤがくると分かると祝いの宴の準備をした。一方フレイヤと侍女は巨人の国に向かい、スリュムの下についた。素晴らしいほどのワインや牛の丸焼き。鮭を使った料理が並んでいる。フレイヤと侍女は宴の席についた。しかしフレイヤはものすごく腹が減っていた。

フレイヤ(トール)は牛を丸ごと1頭とワイン大瓶3つと鮭8匹、をひとりで平らげた。スリュムは驚きます。

すかさず「フレイヤ様は、あなたの事を想い焦れ8日のあいだ一口も『もの』を口にしなかったんですよ。」と侍女(ロキ)がフォローした。

これにスリュムは、大変上機嫌になった。そしてフレイヤに触れようとしたら、スリュムはまた驚いた。「なんて鋭い目をしている、真っ赤な目をしているじゃないか。」

またまた「フレイヤ様は、あなたの事を想い焦れ8日のあいだ一睡も出来なかったんですよ。」と侍女(ロキ)はフォローした。

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復讐のトール

侍女の言葉に有頂天になったスリュムは召使に命令した。「ミョルニルを持って来い。花嫁の膝元において結婚を祝おう」と。二人にはミョルニルが結婚で祝福の道具として使用されるのは分かりきっていた。

召使は薄々警戒していたが、スリュムの命令には逆らえない。ミョルニルが運び込まれ花嫁の膝元に置いた。花嫁(トール)は心の中で笑います。

ついにトールは、花嫁衣裳を脱ぎ捨て威嚇するようにスリュムをにらみ、あっという間に倒した。他の巨人も錯乱状態になったが、その場にいた巨人は全部トールに倒された。そしてすぐにトールとロキはアースガルズに戻り、ミョルニルを取り返したのだ。

あとがき


トールさん最後は威厳を取り戻せて良かったですね!笑

今回のお話で登場したワインや牛、酒と言えば北欧料理が題材ですね、こういった随所に盛り込まれた当時の生活観も、垣間見ることができて楽しいものです。

女装、と言えばFF7を思い出す方もいるかもしれませんが、あのクラウドの女装とコルネオの館の話はまさにこの話しがモチーフで、ミョルニルがティファ、ヘイムダルとロキの役割をエアリスが担っています。FF7では他にもミッドガル、ミドガルズオルム、ニブルヘイム、と言った要素も登場してます。知らない人はすみません。笑

もしかするとあなたの好きな話の一部が神話からきているかもしれませんね。

 

ではまた次回♪

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【北欧神話7】トールの愉快なヨトゥンヘイム冒険譚 後編

 

北欧神話小話 

眠りを必要とせず、夜でも昼と同じく100マイル先を見ることができ、草の伸びるわずかな音でさえも聞き取る鋭い耳を持っていたヘイムダル、彼はアースガルズと地上を繋ぐ虹の橋ビフレストの門番の役目を負う。彼の持つ角笛ギャラルホルンが豪笛を鳴らした時「神々の黄昏ラグナロク」は訪れる。

 

 

さてさて本日は前回、トールら一行がヨトゥンヘイムへ立ち入り、スクリューミルという巨人と出会い、彼と別れた話の続きと後日談との話となります。

トールが体験した不思議で可笑しな冒険譚。今回もお楽しみ下さい。

ウートガルズでの余興

トール一行は、スクリューミルの忠告通りひたすら東に進みます。するとトールたちは大きな平野に着き、その真ん中には大きな城がありました。頂上は天を穿ち、鋼鉄の門が完全に閉まっていた。トールは鉄の門を開けようと試みたがびくとも動かない。幸い鉄格子の目が粗かったので、トールたちはその隙間からもぐりこむ事が出来た。

中に入ると大勢の巨人が闊歩している。どの巨人もスクリーミルが可愛く見えるほど大きい。その中にウトガルド・ロキ王がおりトールたちは王座の前に出て謁見します。するとウトガルド・ロキ王は、にやりと笑いながらこう言った。(ややこしいですがロキとウトガルズ・ロキは別人物です)

「ようこそ巨人の城ウートガルズへ。そこにいる者はアースガルズのトールと見た。ところでお主たちは、何か特技は持ちえていないかな?何でもいい。ここには特技の無い奴は一人も居ないのだから。」

これに対しロキは「早食い」と答えます。ウトガルド・ロキはロギというものを呼び、ロキと早食いを競うように命令した。ルールは桶の中に入っている肉を早く平らげたほうが勝ち。ロキは物凄いスピードで肉を食べたが、ロギはロキよりも早く食べ、おまけに骨や桶までも口に入れてしまう。圧倒的にロギの勝利である。

次に農民の息子チアルフは何が出来るんだとたずねた。チアルフは「足の速さが自慢」と答えます。するとウトガルド・ロキはフギという名の少年を呼びチアルフと競争をしろと命令した。

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この物語が書かれた教本スノッリのエッダ

競争が始り、チアルフはぼろ負けする。「確かに早いが、フギに勝つためにはもう少し努力しないといけないぞ。」とウトガルド・ロキは言った。そして二回目も三回目もあっさり負けてしまう。

さて次はいよいよトールの番です。「君は武勇伝が沢山あるが、今日はどんな技を見せてくれるんだ。」とウトガルド・ロキが問うとトールは「酒の飲み比べ」と応じます。

するとすぐに角杯が用意された。「イッキできたら素晴らしい。二口で飲み干すものも何人かいる。しかし三口で飲めないものは、ひとりもいないぞ。」とウトガルド・ロキは焚きつけます。

トールはのどが渇いていたので、酒を一気に飲んだ。そして角杯をテーブルに置くと、酒はほとんど減ってなかった。これにトールも驚きます。二口目は前よりも気合を入れて、息が続く限り飲んだが酒の水位は殆ど下がっていない。怒ったトールは猛烈な勢いで飲んで酒は減ったが、角杯にはかなりの酒が残っていた。
ウトガルド・ロキは「どうした?別の技を試してみるか?」と問うとトールは応じます。すると
「たいしたことないが、子供たちの間で流行している戯れでわしの飼っている猫を持ち上げる、ただそれだけ。簡単だろ。」と提案されます。

トールは満身の力を込めて、猫を持ち上げました。しかし一本の足が床から少し離れただけだ。どれだけ力を込めても無駄であった。

ウトガルド・ロキは残念だと悲観してみせます、これに怒ったトールは自ら今度は押し合い(相撲みたいなもの)をしたいと申し込みます、巨人の王はこれに応じエリという老婆をトールの相手に推薦しました。

この侮辱にトールは憤慨し、容赦なくエリに突っ込みますが老婆を押すことはかなわず、トールは押し寄せる老婆を押し返す事もできず敗北してしまった。

ウトガルド・ロキは「情けないな、だが良い余興だった、楽しませてもらった」と満足げに言いました。そして空が赤く染まった頃、トールたちを広場に案内し一晩中宴会が開かれた。

夜が明けトールたちは目を覚まし、帰り支度をした。ウトガルド・ロキは彼らを送ろうとしたとき、トールに向かって今回の旅の感想を尋ねました。

トール「プライドがズタズタに引き裂かれた。つまらん男だと思われているかもしれないが、そう思われるのが一番つらい。」と答えました。

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三つの穴が空く山

これを聞いた巨人の王は満足げに笑いながら「本当のことを話してやろう。わしは術を使ってお前たちの目を惑わしてきたんだよ。森の中で出会った時からな。そう、スクリーミルはわしが変身していたのだ。袋の紐は魔法をかけておいた、だから中身を取りだすことは絶対に不可能であった。お前がミョルニルでわしを殴ったとき、わしはすばやく「山」を替え玉にしたのだ。そうでもしないと死んでしまう。あの山を見てみろ、穴が三つ空いている、あれはお前が「山」を殴った跡だ。」

トールは絶句します。
「早食い勝負の相手であったロギの正体、あれは「炎」だ。だからすさまじいスピードで肉を食ったし、桶も骨も平らげることが出来た。かけっこの相手であったフギの正体、あれは「思考」だ。足の速いチアルフも「思考」にはかなわない。」

トールは「おれはどう騙した?」と尋ねます。

「飲み比べの時、酒が減らないように見えたが、角杯の端は海に通じていた。だから水位が減ったときは驚いた。つまり、海の水が減ったんだ。猫を持つ戯れ、あの猫の正体は「大蛇ヨルムンガルド」だ。ヨルムンガルドと言えば、陸地をぐるりと取り巻いている。片足が上がったときは驚いた、なんせ大地が揺れたんだから。婆さんとの取り組み、お前が相手にしていたのは「老い」だから。どんな強靭な肉体も「老い」には勝てない。」
トールはここまで聞くと激怒しミョルニルを振りかざし、ウトガルド・ロキを叩こうとした。しかし、あたりは美しい平野が見えるだけで、ウトガルド・ロキはおろか城も完全に消えていた。

完全に手ごまにされたトール達はしぶしぶアースガルズへ引き返した。

後日談「トールの釣りバカ?日誌」

トールは先の一件もあり大蛇ヨルムンガルドを探すことにします。戦車ものらず、馬にものらず、同伴者もなしで一人旅でます。そして夕方頃に、ヒュミルという巨人の家で宿をとった。翌朝、ヒュミルは海へ釣りに行くというので、トールはこれを好機だと思い同行を願い出ます。ヒュミルはしぶしぶ同行を認めました。

トールは釣りのエサを持っていなかったので、ヒュミルが飼っている牛の中で、一番大きな牛の頭をもぎとって、浜辺に戻った。こうして二人は、沖に行くためにボートを漕いだ。

船はやがてヒュミルがいつも釣りをするところまで来ると、トールは「せっかくだから、もっと沖まで。」と言った。そして二人はまたボートを漕いだ。しかし、ヒュミルは言います「これ以上は危ない。大蛇ヨルムンガルドが現れるぞ」と。

それでもトールはボートを漕いだのでヒュミルは不安がります。そうトールの目的は初めからそのヨルムンガルドだ。トールは釣り糸を出した。ダダの釣り糸ではなく太くて丈夫な鋼の糸であった。トールは釣り針に「牛の頭」をつけ、海に投げ込んだ。

大蛇ヨルムンガルドは簡単に引っかかった。しかし釣り針はアゴに刺さり大蛇は大暴れします。トールは足を猛烈に突っ張ると両足が舟板を踏み破って、トールの靴底は海底についた。(それだけ強い力で踏ん張った、って言い回しでしょう)ついに彼は、舟の近くまで大蛇を引っ張りあげます。

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糸を切ろうとするヒュミル

ヨルムンガルドも反撃します。なんとトールに猛毒を吹き付け、鋭い眼光で睨みます。巨人ヒュミルは真っ青になり、恐怖に陥ります。(そりゃそーだ)

トールがミョルニルを空中に振り上げた瞬間、ヒュミルは恐怖のあまりナイフで釣り糸を切ってしまい、大蛇は海に沈んだ。トールはミョルニルを大蛇に投げつけ、ミョルニルは大蛇の頭に直撃したが、大蛇を殺すには至らなかった。

大蛇殺しのチャンスを失ったトールは、ヒュミルを海へ蹴り落とし殺してしまった。その後トールは海を歩いて帰路に着いた。

あとがき

トールの冒険はどうでしたか?まず、すべてのとばっちりを受けたヒュミルさんが不憫でなりません(笑)トールも確かになかなか不憫ではありますがね。そしてウートガルズの余興の場面、確かに笑い話ではありますが、なかなか心理をついた話だと感じます。

老いは引けど押せど迫りくるものだし、思考の早さに物理的な足の速さが敵うわけがありません、ただただ想像力、発想力に脱帽です。

ちなみに今回の冒険は「スノッリのエッダ」という教本の中の話で「古エッダ」ではヒュミルの話は少し違います。今回は一連性のある「スノッリのエッダ」話を採用させて頂きました。

引き続き次回もトールの話となります。北欧神話においてかなり有名な話ですのでご存知の方もいるかもしれませんね。

 

では、また次回♪

 

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【北欧神話6】トールの愉快なヨトゥンヘイム冒険譚 前編

 

 北欧神話小話

トールの名は北欧諸国では男性名として定着している。スペルはThorとTorの二種類、カタカナ表記は「トール」か「トル」が多く「ソー」と表記されることは少ない。また「トールの石を意味するトルステン(Torsten,Torstein)は北欧諸国とドイツ語圏で、英語に転訛したダスティン(Dustin)も男性名として定着している。

 

 

ども、あるえです。

今日は七夕ですね、皆さん願い事はしましたか?願わくば、この記事が皆さんの心にわくわくを届けられますように・・・。

さて、今回は北欧神話のお話の続き、トールの冒険譚をお伝えします。おそらく3記事連続でトールに関する話となります。

オーディン、フレイと並び北欧神話における三大神として数えられるトール、ここまでの記事の中でも幾度か名前は登場しましたね、彼は彼の持つ武器ミョルニルと並び現代においても言わずと知れた有名な神でありますし、北欧神話をモチーフにしたアメコミを元に作成された映画「マイティ・ソー」のソーはトールが由来です。それくらいトールは現代においても人気の神という事になります。

そんな彼の素顔、彼にまつわる冒険譚を紹介します。

トールの紹介

彼はアース神族で最強の戦神として伝わっており、雷、天候、農耕などを司り、力はアースガルズのほかのすべての神々を合わせたより強いとされる。(こうしてみると北欧神話の戦神チュールが霞みますね)

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トール

外見は燃えるような目と赤髪を持ち赤髭の大男として描かれることが多く、その姿からも連想されるように、性格は非常に豪胆、乱暴で激情家でした。

武勇を重んじる好漢ではありますが、その反面少々単純で激しやすく、何かにつけてミョルニルを使っての脅しに出る傾向があります。しかし怯える弱者に対して怒りを長く持続させることはなく、時に優しさも見せます。途方もない大食漢。

父にオーディン。母はヨルズ。妻にロキの話で登場したシヴともう一人ヤールンサクサがいます。息子にモージとマグニ、娘にスルーズ、シヴの連れ子のウルがいます。

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狩猟と弓術、スキーの神ウル

 人間からは農民階級に信仰された神であり、元来はオーディンと同格以上の地位がありました。 スウェーデンにかつて存在していたウプサラの神殿には、トール、オーディン、フレイの3大神の像があり、トールの像は最も大きく、真ん中に置かれていたとされています。

後に北欧だけではなくゲルマン全域で信仰され、地名や男性名に多く痕跡を残し、また最初の記事で紹介したように木曜日を意味する英語 Thursday やドイ語 Donnerstag などはトールが語源となっています。

雷神であることからギリシア神話のゼウス(雷ていケラウノス?)やローマ神話のユーピテルと同一視されました。

武器は稲妻を象徴するミョルニルといわれる柄の短い槌で「打ち砕くもの」という意味をもち、トールハンマー、ムジョルニアとも呼ばれる事も。敵を倒す以外に、物や人を清める作用があり、しばしばトールは結婚式や葬式で、この槌を使用しています。

本来はその重い槌部分に見合う長い柄が付くはずであったが、ロキの妨害のせいで柄は短いままであり、少々バランスの悪いものとなっているらしい。

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ミョルニル

 従えた動物としてはタングリスニとタングニョーストと言う、トールの戦車を牽く二頭のヤギが存在します。トールが空腹になると彼らは食べられるが、皮と骨さえ無傷であればその2つから再び再生さるという逸話もあり、食料として扱われる場面も(笑)
なおこの戦車が走る際に立てる轟音が雷鳴とされている。

 トールのヨトゥンヘイム冒険譚

さてトールの紹介が終わったところで彼とロキがヨトゥンヘイムへ出向いた時のストーリーを紹介しましょう。ロキの記事冒頭の小話の時の話です。

ロキの話はこちら↓

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トールはロキと一緒に、二頭のヤギの引く戦車に乗って、巨人の国ヨトゥンヘイムに向かいます。ある晩ふたりはある農民のところに辿り着き宿をとります。トールは自分のヤギを殺して、皮を剥ぎ、山羊肉を大鍋の中に投げ込んだ。

トールは農民とその家族を呼んで一緒にテーブルにつくと「さあ、ジャンジャン食べてくれ。ただ骨は絶対に痛めないようにして、全て山羊の皮の上に置くように。」と言った。

農民の息子はチアルフ、娘はレスクヴァと言い食いしん坊のチアルフはみんなが居なくなると、トールの言いつけを破り山羊の腿(もも)の骨をナイフで割って、好物の骨の髄を食べてしまいます。

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トールとロキ、山羊と召使の二人

翌朝トールはミョルニルを振りかざして山羊皮と骨を祝福した。すると山羊たちは復活しますが、一頭だけ片足が折れていました。これにトールは憤慨し炎のように殺気立ち骨が白く浮き出すほどきつくミョルニルを握り締めていた。

あまりの威圧感に農民たちは泣き叫んで命乞いをします。彼らの恐怖を見るとトールは次第にかわいそうだと思い、チアルフとレスクヴァを召使いにすることで農民たちを許した。

トールたちは骨折した山羊を農民の家に置き、チアルフとレスクヴァを連れて旅を続けます。そして深い海を渡り巨人の国ヨトゥンヘイムへ立ち入ります。やがて、大きな森に着き一日中森の中を歩いたが抜けることはできなかった。

あたりが暗くなると彼らは宿を探した。すると運よく大きな小屋を見つけ、そこに泊まることにします。しかしその夜に大地震が起こり、彼らは避難場所を探します。小屋の真ん中の右手に小さな個室があったので彼らはそこに逃げ込みます。

トールはいつ巨人が来ても良いようにミョルニルを握り締め、部屋のドアの前に座っていました。ロキとチアルフとレスクヴァは部屋の中に入っていて怯えていました。そしてその場の全員がすざましい騒音とうなり声を聞きました。

翌朝トールが外に出てみると巨人が横になっていました。巨人がいびきをかくたびに大地が揺れているので昨夜の地震はこいつの仕業だと感づき、トールは身構えミョルニルを握ります。ところがその途端に巨人が目を覚ましすぐに起き上がりました。トールは驚いてミョルニルを振り下ろせませんでした。

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スクリューミルとの出会いの場面

トールは彼に名前を聞くと巨人は答えます。「わしの名はスクリューミル。お前がアースガルズのトールであることは知っている。ところでわしの手袋を知らないか?」スクリューミルは辺りを見回し、手を伸ばして手袋を拾った。なんと昨夜泊まった小屋こそが彼の手袋であった。

スクリューミルは一緒に旅をしたいと言い、トールもそれに賛成した。彼は荷物をバラバラに持つのは面倒だから一緒にしようと提案します。みんな賛成し巨人はトールたちの荷物を自分の袋に入れて、口を縛るとそれを背中にかついだ。

スクリューミルは先頭に立ち、大またで歩いた。遅れないようにその後についていくのは、足の速いチアルフでさえ苦労した。夕方、一行は大きな柏の木を見つけ巨人は「今夜はここで泊まる。私はもう寝るがお前たちは勝手に袋から食料をとって、夕食をとれば良い」と言った。

巨人は大きないびきをかいて寝てしまった。早速トールたちは食事をとるために、紐ほどきにかかったが、一向に紐がゆるまない。腹を立てたトールは、ミョルニルで巨人の頭を殴った。

彼は眠たさそうに目を開けると「木の葉がわしの頭に落ちたのかな。お前たちはまだ寝ないのか?」と言った。トールは「これから寝ようと思ったところだ」と答えた。

トールたちは別の木の下に行ったが腹は減っているし、巨人のいびきはうるさいしで中々眠れない。夜中になると彼のいびきは一層エスカレートした。トールは起き上がって、今度は殺してやると思った。

トールはミョルニルを高く持ち上げて打ち下ろしたが、巨人は死ななかった。巨人は目を覚まして「頭の上にどんぐりが落ちたんだな。お前はそこで何をしている?」と言った。トールは「ちょっと目が覚めたんだ。」とごまかします。

トールは横になり巨人が熟睡するのを待っていた。明け方の少し前にいびきがうるさくなったので、好機だと思い満身の力をミョルニルに込めて力いっぱいに打ち下ろした。しかし巨人は頬をなでてこう言った。「木の枝が顔に落ちたらしい。鳥の仕業だな。なんだ起きていたのか。そろそろ出かける支度をしよう」と言った。

旅支度が終わるとスクリューミルはこう言った。「もうすぐ巨人の住む国があるが、お前たちみたいなチビが手柄話などをすると、ウトガルド・ロキは怒ってしまうぞ。行かないほうが身のためだ。どうしても行きたいなら、東を目指すがいい。わしの目的地は北にあるから、ここでお別れだ。」

スクリューミルは北に向かい、トールたちは東に向かった。

 

あとがき

今日はここまで、次回後編となります。

彼の人柄の良くわかるエピソードですね、後半の巨人の話といい、トールは何かと所謂ネタ扱いされることが多いです。次回後編はもはや笑い話で、後にそのことを同行していたロキに蒸し返され馬鹿にされます(笑)

豪快で、ちょっと抜けたトールだからこそ人々に愛されているのかもしれませんね。

ではまた♪

 

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【ウェールズ神話2】あの有名な英雄王伝説の原点「マビノギ四枝」の続き

 

ども、あるえです。

今日は「ウェールズ神話」の「マビノギ四枝」の続きを書いていきます。前回は第1、2枝を紹介したので本記事では第3,4枝を紹介します。

相変わらずプレデリが登場しますが同一人物です。リアンノンやグワウルと言ったキャラも前回から引き続き登場します。

ウェールズ神話、マビノギオン、マビノギ四枝やアーサー王の物語との繋がりについては前回説明しおりますので割愛します。まだ読まれていない方はこちらからどうぞ♪

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では、アーサー王に思いを馳せてウェールズの地での神話をお楽しみ下さい。

 

第3枝「スィールの子マナウィダン」


プレデリとブランの弟マナウィダンはダヴェドに帰還しました。プレデリはキグヴァという娘と結婚し、マナウィダンはリアンノン(第一枝にも登場したプレデリの母)と結婚しました。しかしそのとき、魔法の霧がダヴェドに立ちこめて、家畜や従者を四人から引き離し、ダヴェドは闇に包まれてしまいました。

彼らはイングランドに渡り、現地の職人が及ばないほど上質の鞍・盾・靴などを作って町から町を渡り歩き魔法の霧の原因を調査しましたが、地元民は彼らを追放し最終的に彼らはダヴェドに戻り、狩りをする生活をはじめます。狩りの最中、白い蛇がプレデリとマナウィダンを怪しげな城へと導き、プレデリはマナウィダンの助言に逆らって城の中へ入りましたが、彼は一向に戻ってきませんでした。

リアンノンが調べに行くと口が利けなくなったプレデリが大杯にしがみついているのを見つます。しかし同じ運命がリアンノンにも訪れ、今度は城が2人と一緒に消えてしまった。マナウィダンとキグヴァは途方に暮れてしまいます。

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現れた怪しげな城

ある時二人は三つの畑に小麦の種を播きましたが、最初の畑が収穫前に荒らされてしまいました。その次の夜二つ目の畑も荒らされてしまう。マナウィダンが三つ目の畑を見張っていると、鼠の群れが畑を荒らしているのに出くわしました。マナウィダンはそのうちの一匹を捕まえて次の日処刑することに決めます。

すると、学者と司祭と司教が立て続けに現れて、礼はするから鼠を逃がしてやってはどうかと提案したが、マナウィダンは断りました。何をすれば鼠の命を助けてくれるか聞かれ、マナウィダンはプレデリとリアンノンの解放と、ダヴェドにかけられた魔法を解くことを要求した。司教はこれに同意します。

というのも鼠の真の姿は彼の妻であり、司教は自分の本当の名前がキル・コイトの息子スィウィトであり、友人であるグワウルへの侮辱に対する復讐としてダヴェドに魔法をかけたことを明かしました。こうしてダヴェドと二人は解放されました。

これでマビノギのこの枝はおしまい。

第4枝「マソヌウイの息子マース」


プレデリが南ウェールズのダヴェドを支配する一方で、北ウェールズのグウィネッズはマソヌウイの息子マースによって支配されていた。戦時でない限り、マースは乙女に足を支えさせていた。マースの甥ギルヴァエスウィは当時足を支える役にあった乙女ゴエウィンに恋をして、弟のグウィディオンとともにマースを騙してプレデリとの戦争に出向かせ、その隙にゴエウィンへ近づこうとした。

ギルヴァエスウィはゴエウィンを手込めにしますが、マースは事態に気付き償いとして自身がゴエウィンと結婚し、グウィディオンとギルヴァエスウィは、罰として一つがいの鹿、豚に変えられた。彼らが人間に戻されたのは三年後のことだった。

マースの足を支える新しい乙女が必要になり、グウィディオンは妹(姉?)のアランロドを推薦します。しかしマースが魔法で彼女の純潔を調べると、アランロドはふたりの子供を産んでいました。ひとりはディラン・エイル・トンですぐに海へと投げ出されますが。もうひとりはグウィディオンに育てられることになります。アランロドは、彼女以外の誰もその子に名前と武器を与えられないという誓約を立てました。

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忠誠や裏切り

だがグウィディオンは策略を用いてアランロドに彼をスェウ・スァウ・ゲフェスと名付けさせ、武器を持たせますが、アランロドはスェウがどんな人種の妻も持つことがないと誓約を立てたので、グウィディオンとマースは協力して花を美しい女性に変え、ブロダイウェズと名付けて彼の妻とした。しかしブロダイウェズはグロヌウという狩人と恋に落ち、スェウの殺害を計画した。

ブロダイウェズはスェウを騙して彼を殺せる方法を聞き出して実行に移すが、グロヌウが決行した際、スェウは傷つきながらも鷲に変身して逃れた。グウィディオンはスェウを見つけて人間に戻し、ブロダイウェズをフクロウに変えた。グロヌウはスェウへ償いを申し出るが、スェウは復讐にこだわり、隠れていた岩を貫くほど強く槍を投げつけてグロヌウを殺してしまいました。

あとがき


第4枝の展開が目まぐるしすぎて理解には根気がいる気がします(笑)いずれの時代においても恋やロマンスと殺戮や裏切りとは表裏一体ですね。愛と欲と思惑が絶妙なハーモニーを生み出しています。裏切りといえば湖の騎士ランスロットですね。


以上がマビノギオン11章のうちの4章「マビノギ四枝」でした。

マビノギオンの他の7章は以下の通りです。

カムリに伝わる四つの物語
・マクセン・ウレディクの夢 
・スィッズとスェヴェリスの物語 
・キルッフとオルウェン
・ロナブイの夢 


アルスルの宮廷の三つのロマンス
・ウリエンの息子オウァインの物語
・エヴラウグの息子ペレドゥルの物語 
・エルビンの息子ゲライントの物語


ちなみにアルスルとはアーサーの意です、これらの物語もアーサー王の物語と深く関りがあります。

ウェールズ神話は同じケルトではありますがアイルランド神話に比べると、人間模様が多く語られている気がしますね!かたやアイルランド神話はファンタジー臭がプンプンです。いかがでしたでしょうかこれにてウェールズ神話の記事は完結です。

 また機会があればアーサー王やアイルランド神話にも触れたいと思います。

 

ところで私事になりますが、先日から酷い歯痛に襲われ眠ることも許されず、市販の鎮痛剤は一切効かないという地獄の体験をしておりました。

月曜日に口腔外科に連行されるかもしれぬ・・・免疫力低下が酷いらしく、治療中麻酔も効かない状況で、今はボルタレン処方されたので落ち着きを取り戻しました。

そんなこんなでようやく記事を書けるようになりました(笑)

明日、明後日と記事書けるかわかりませんが、今後ともよろしくお願い致します。

今日の記事は落ち着いたらリライトします!

記事リライトしました、ですが何かと今回は手薄感が否めませんね。今後も色々な神話に触れていきたいと思います。しかし有名なギリシア神話について触れるかは微妙です、というのも登場人物が多すぎて描き切れるか心配で(笑)

とはいえやっぱり神話ってわくわくして魅力的ですよね♪これからも皆さんとそんな世界観を共有していきたいと思います。

 

では、また♪

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【北欧神話5】ヴァン神族との戦争がアース神族にもたらした恩恵

 

 ー北欧神話小話ー

 " 運命の女神ノルン。その数は非常に多数とも言われるが、通常は巨人族の3姉妹である長女ウルズ(未来)、次女ヴェルダンディ(現在)、三女スクルド(過去)のことのみを意味する。 彼女ら3人の登場により、アースガルズの黄金の時代は終わりを告げた。それは栄枯盛衰の意の如く。"

 

 

ども、あるえです。

今日は引き続き北欧神話の物語を綴ります。これまでに世界の成り立ちや、オーディン、そしてロキの紹介をしてきました。今回からは発生した事象を中心に北欧神話の物語を紡いでいきたいと思います。その際登場する人物は都度紹介していきます。

本日はアース神族とヴァン神族の戦争とその後日談について。

北欧神話の世界には2種の神が存在します。それが先述の神族たちで、その種族の違いを簡潔に言うと「家系」の違いとなります。例えるなら「将軍家」の中で「源氏」と「平家」があったようなものです。

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ニョルズ

アース神族はオーディンを家長とした種族、一方ヴァン神族はオーディンのようなポジションは描かれることは少なく一般的には「ニョルズ」と言う神が率いていたとされます。

ニョルズは海の神とされ、妻は彼の妹・・・と書くと首を傾げる方もいると思うので解説しますが、ヴァン神族では近親婚は日常であり文化でした。この点はアース神族と違うところですね。子はフレイとフレイアという双子の兄妹です。この兄妹については後述します。(妻はスカジという巨人であるという説もあります)

 戦争のきっかけ

さて、本題に参ります。9つの世界ができアース神族がアースガルズに住み始めた頃、彼らは多くの財産を持ち、明るく華やかな生活を送っていました。

そんな折、ヴァン神族の魔女グルヴェイグがアースガルズを訪問し、彼女はアース神族の女神達に「セイズ」という魔法を教えます。
セイズは主に女性が使用する魔法で道具を使用して固有の危機に瀕した際に、未来を見通し、敵をののしり、また魂を離脱させる、そのような魔法でした。(ヴァン神族は未来を見通す力を有する、と呼ばれる所以はこのセイズによるものかもしれません。)

しかし、セイズには副作用もあり使用の際には肉体的な快楽が伴いました。アース神族の女神たちは、この魔法にはまり込んでしまい、堕落してしまいます。

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グルヴェイグの処刑

これを問題視したオーディンらは、グルヴェイグを槍で貫き処刑します。不死身の体を持つグルヴェイグは3度に渡って殺されかけますが、その度に蘇りました。こうしてグルヴェイグがアース神族から傷つけられたこと、あるいはグルヴェイグの魔法によりアース神族が侮辱されたことから、アース神族とヴァン神族との間で戦争が始まりました。

と、ここまでが通説で、このグルヴェイグに関しては諸説あります。グルヴェイグとは「黄金の擬人化」で神々を欲望にかりたたせた、とか或いはグルヴェイグを誰かアース神族の男神に嫁がせる為によこしたがグルヴェイグを貫いた槍は実は・・まぁ男神達によって陵辱を受けたことによってヴァン神族の怒りを買い戦争に発展したとも言われます。

いずれにせよ、グルヴェイグによって何かしらの誘惑を受けたという解釈で間違いはないと思います。

戦争と後日談 


こうして始まった戦争は長年に渡りました。はじめはヴァン神族が優位で、アースガルズの城砦が幾度と無く突き崩されましたが、アース神族もそれに負けじ劣らずヴァナヘイム(ヴァン神族の世界)にも似たような損害を与えました。
力は非常に拮抗しており一向に決着がつきません。やがて、戦うことに疲れ果てた神々は両族の指導者同士が会合して和解しますが、和解の証として両族からそれぞれ「尊い神」を人質として交換することになりました。

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ヴァン神族との戦争

ヴァン神族からは指導者ニョルズとその子供であるフレイとフレイヤがアース神族に送られ、彼らはアース神族に歓迎されました。こういった経緯の元フレイとフレイヤはアース神族として扱われるようになります。ちなみにニョルズの妻である妹はアース神族がヴァン神族の近親婚の風習を嫌っていたのでこの時に離縁しヴァナヘイムに置いてきたとうエピソードがあります。

一方、アース神族からは容姿に優れ、美しく逞しいヘーニルと知恵者のミーミルがヴァン神族に送られました。ですがヘーニルはミーミルがいないと何もできない無能者でした。これに憤慨したヴァン神族は、ミーミルの首を切り落とし、オーディンに送り返してしまいました。

首を受け取ったオーディンは「ミーミルの知恵」を失うのは惜しいと考えて、薬と魔法をもってミーミルの首だけを生き返らせ、ヨトゥンヘイムにある「知恵の泉」の番人になりました。これが「ミーミルの泉」でオーディンが知恵を授かり、片目を差し出した話となるのです。

オーディンの話はこちら↓

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 また戦争が終わり和解する記念として、両神族全員が1つの器に唾液を吐き入れます。その和平の証を消滅させないために、唾液に人間の形を与え、クヴァシルという非常に賢い人物を作り出しました。クヴァシルに答えられない質問は皆無であったと語られています。

このクヴァルシという人物はしばしば他の逸話にも関わりがあり、例えばオーディンの記事の不貞の話で出てきた「詩の蜜酒」はクヴァルシの血で出来ているとも言われます。

そして、この戦争によって破壊された城壁の修復の話が前回のロキの子、8本足の馬スレイプニールの出自の話へと繋がります。

城壁修復の話はこちら↓ 

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伏線回収ばかりになりましたね。オーディンとロキの紹介より先にこの記事を書けばよかったと思いもしたのですが、どちらにせよ話の絡み合いが非常に多いのでこういう事態の回避は難しいですね(笑)

フレイとフレイヤについて

最後に彼らの紹介をしたいと思います。

終戦後アース神族の一員として迎えられた彼らは非常に有名な神であり、フレイは神々の中で最も美しい眉目秀麗な豊穣と子孫繁栄の神として崇拝されています。後にオーディン、雷神トールと並び三大神として数えられるようになります。また武勇の面でも「勝利の剣」と呼ばれるひとりでに敵をなぎ倒す剣を所持しており、数々の戦果を上げている。後の物語でこの剣を手放すこととなり、ラグナロクにて悲運をたどることになります。

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フレイとフレイヤ

一方フレイヤは愛情と美、豊饒とセイズを司る女神の一柱で、豊饒神としての性質上性的に奔放(つまり性におおらか)でもあり先述した通りヴァン神族では普通のこととされていますが、父ニョルズや兄フレイとも肉体関係があったそうです。またなんといってもその美しさは世の男性の欲情を沸き立たせるには充分すぎる程であり、城砦再建の石工の件もしかり、度々トラブルを巻き起こす程であった。

本記事で取り上げたグルヴェイグは実はフレイであったとされる場合もあり、セイズが使えたことと、その美しさをもってすればなるほど納得できる解釈である。

あとがき 

ここまでがヴァン神族との戦争及びその恩恵の話となります。

ヴァン神族に纏わる話には性的要素が多いという特徴がありますが、これについて言及するのであれば、これは人間の素直な本能を描いた結果でもあるのだろうし、北欧と言う厳しい環境の土地において子孫繁栄はなにより重要なことだと思われるのでこういった要素が反映されたものではないかと推察します。

フレイが聖獣と定めたのは猪、豚、馬とされていますがこれも多産であった為と言われています。二人の父ニョルズについてはこの場面以外で語られることは少ないですが、後に「ロキの口論」という話の中で登場します。 

この戦争で結果としてアース神族はフレイ、フレイヤを始め、オーディンの知恵やクヴァシルという知恵者も恩恵として手に入れることになりました。

 

今回はここまで、以上が神々の戦争の話でした。

ではまた次回♪

 

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