= あるえ物語 =
読書と神話、ときどき雑記 童心の権化あるえのブログ
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【北欧神話10】首飾りブリーシンガメンを巡る物語

 

北欧神話小話

スノッリ・ストゥルルソンは、アイスランドの詩人・政治家・歴史家(著述家)である。ノルウェー王朝の歴史『ヘイムスクリングラ』や『スノッリノエッダ』の著者としても知られている。優れた学者であったが、権勢欲、名誉欲の強い野心家でもあった。

 

ども、あるえです。

今回は引き続きヘイムダル、とフレイヤ、ロキが関係する話です。

この話は北欧神話の中でもあまり有名な話ではないし正直1記事にするか迷うほど短い話なんですが、とある伏線が張られている為どうしても取り上げたくて記事にしています。

あと色々理由もあって今更ながらですが、北欧神話にはいくつかの文献がありこれらについても触れたいと思います。物語が読みたい方は目次から飛ばしてお読みください。

北欧神話の文献と私の記事の方向性

 先述したように北欧神話はあらゆる場所であらゆる人物がその伝承を記述として残しています。代表的なものでは「古エッダ」「スノッリのエッダ」があげられますね。

「古エッダ」は9世紀から13世紀にかけて成立したとされ17世紀に発見された北欧神話について語られた写本。「王の写本」をその根底としており主に北欧神話や北欧の英雄伝説について語っている。また「詩のエッダ」とも呼ばれています。

それに対し「スノッリのエッダ」は1222年ごろにアイスランドの詩人スノッリ・ストゥルルソンが著した詩の教本です。若手詩人たちに北欧神話と詩の技法を教授する目的で書かた、いわば北欧神話を題材とした教科書のようなもので、失われたエッダ詩も数多く含まれており、この本なくして北欧神話を現代に復元することはほぼ不可能であったと言われるほどです。

どちらにも共通する話や食い違う部分があったりします。

スノッリのエッダの表紙

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またその他「フラート島本」「王の写本」「サガ」「スカルド詩」等、数多くの文献が発見されており、これらはだいたい9世紀~13世紀に作成され、互いの影響を受けたり、派生したりしている。

さて、では私は北欧神話を記事にするに当たりどうしたものかと思いましたが、結局何かひとつに捉われるのではなく。色んな文献を繋ぎ合せて物語として記事を書く方向性に決めました。なるべく矛盾しないように。

こういった経緯があり「古エッダ」や「スノッリのエッダ」「スカルド詩」等の内容がごちゃ混ぜになっている為、知っている人からしたら・・・???となるかもしれませんが、「あるえが勝手に繋ぎ合わせた北欧神話の物語」として捉えていただけると幸いです。

今回やトールとヨルムンガンドの話のように違う内容で語られている場合はなるべく注釈は入れていきます。以上が参考文献と私の記事の方向性の話です。

首飾りブリーシンガメンの物語

まず反省点から先に述べます、本来この記事はもっと早く書くべきでありました【北欧神話8】ですでにフレイヤの首飾りのことが触れられていますが、この記事はその首飾りを手にするところから始まります。その点ご容赦ください。 

ヴァン親族との戦争が終わり一時平和になったアースガルス。かの戦争の代償としてアースガルズへ送られたフレイヤも皆に愛されながら、幸せに生活していました。

ある日フレイヤは王宮近くの岩の奥の洞窟に立ち寄ります。そこにはアールヴリッグ、ドヴァリン、ベルリング、グレールという4人のドワーフが住んでいました。彼らは素晴らしい技術を持っており何でも作ることができました。

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フレイヤが中に入ると、ドワーフ達が黄金の首飾りを鋳造して仕上げをしているのが見えました。フレイヤは首飾りがとても気に入って買い取りをもちかけますが、ドワーフ達は金銭よりもフレイヤのからだを希望したのです。

フレイヤは彼らのそれぞれと一夜を共にするしかありませんでしたが、その代償としてドワーフたちは彼女に首飾りを与えたのです。

しかしこの一連の出来事をロキに見られてしまい、フレイヤが寝ている隙にロキは蝿に変身して館に侵入し首飾りを盗んでしまいます。

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今度はそれを見ていたヘイムダルが首飾りを取り戻そうと雲や熊に変身してロキと闘います。最後にヘイムダルは自分をアザラシの姿に変え、ヴァーガ岩礁とシンガ岩において、アザラシの姿のロキと一戦を交え、長い戦いの末にロキを打ち負かし、ブリーシンガメンを取り戻しフレイヤに返上することができた

ヘイムダルに対するケニング「ロキの敵」「フレイヤの首輪の探し手」、ロキに対する「巨人と山羊とブリーシンガメンとイズンのリンゴの盗人」はこの出来事に基づいています。

この二人の戦いが後の出来事の伏線となります。

あとがき

 この物語は「フラート島本」と「スノッリのエッダ」では少し話が違います。

「フラート島本」では首飾りを手にするところから始まりロキの告げ口によりフレイヤとドワーフの間に起きたことを知ったオーディンが激怒し(フレイヤがオーディンの側室という事になっている為)ロキに盗むよう命じ、フレイヤに返して欲しくば呪文によって人間の英雄王2人を永久に敵対させ戦わせるよう命じている。

一方「スノッリのエッダ」では首飾りの製造やドワーフとの間にあっとことは書かれておらず、ブリーシンガメンは一度盗まれたことがあり、それはロキによる悪戯でヘイムダルが彼との一騎打ちにより取り返した。という流れです。

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ですので手にする場面に関して触れなければ、別段これまでの記事との繋がりは悪くはなかったのですが、それだと極端に話が短くなるし、「フラート島本」に込められた表面的な皮肉を超えた「悪知恵」としてのロキの記述、大きな位置を占めているフレイヤの性的資質のあからさまな表現を捨てきることができず、この記事を作成するあたり製造から手にする話に関しては「フラート島本」を、その後の出来事に関しては「スノッリのエッダ」を参照しています。

愛ゆえに、そして間違った知識は共有したくないので解説多めとなりましたがブリーシンガメンの話は以上となります。

 

では、また次の記事で♪

 

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※神話の内容につきましては諸説あります。この記事の内容はあくまで私の得た知識から成り立つものとなりますのでご了承ください。