= あるえ物語 =
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【北欧神話4】もう一人の主人公ロキ トリックスターの素顔と逸話

 

ー北欧神話小話 ー

”雷神トールのウートガルズ遠征時の事。ロキが彼に同行を申し出た際、その理由を聞かれ「トールは頭が鈍いから、(頭の切れる)自分がいたほうが安全」と返しているが激情家のトールは怒りを見せなかった。旅路の中、寝床に使える場所が見つからず野宿になるのかと不安がるロキに対してトールは「フェンリルの親なのにオオカミが怖いのか」と笑い皮肉った。”

 

 

 ども、あるえです。

 今日は北欧神話を語る上では決して欠かせない存在「ロキ」について書きます。

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とある一幕のロキ

ロキは美しい顔立ちでしたが、大の悪戯好きで気が変わりやすく、狡猾さにおいては誰にも引けを取らず、よく方便を垂れる、、と一般的には悪神として扱われることもありますが、一方でその口八丁と得意とする変身術を駆使し幾度と無く神々のピンチを救い、数多な宝物を神々に授け、アース神族からは一定の信頼を得ており、冒頭の小話でもあるように雷神トールとは特別友好的でした(両名の間には色々ありますがそれでも関係は良好です)

また元祖トリックスターと呼ばれており、その名の通り周囲を掻き回し、話を蒸し返したり進行させたりと何かとキーマンとなっています。

やはりなんと言っても彼の魅力はその憎たらしいけど憎めないお茶目な、飄々としたキャラでしょう。トランプに例えるならオーディンはキング、トールはジャック、ロキはジョーカーと言った所ですかね。そんな彼の生い立ちや子供達、逸話に触れていきます。

 ロキの系譜

父はファールバウティというヨトゥンヘイムに住む巨人で母はラウフェイ。神々の敵であるヨトゥンの血を引きながらもオーディンの義兄弟となり、アースガルズに住んでいる。母については詳細は不明ですが巨人の血を引きながらもオーディンの義兄弟となったという事実から母はアース神族だったのではないかと考察します。

兄弟はビューレイストとヘルブリンディの二人がいますが名前しか登場していないため詳細は分かりません。

妻はシギュンとアングルボザがおり、どちらと先に結婚したかは明確ではありませんが、通説ではシギュンのほうが先だと言われています。しかし、シギュンはロキを見放すことなく一途に愛し続けたのではないかと思われます。

シギュンとの間の子にナリとナルヴィがいます。ナルヴィは、夜の女神ノート(第2話記事冒頭を参照)の父であり巨人とされている。シギュンがロキに一途だったことと、もう一人の息子ナリの不幸な運命は今は語らぬ事とします。

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アングルボザと子供達

次にアングルボザですが彼女はヨトゥンヘイムに住んでいる巨人で、ロキとの間には巨狼フェンリル、ミズガルズの大蛇ヨルムンガンド、ヘルを生みました。彼女から生まれた子供達はいずれも怪物の姿で生まれた為、アース神族からは嫌煙されてしまいます。

フェンリルは狼の姿をした巨大な怪物で、兄弟共に神々に災いをもたらすものと予言されます。それに加えあまりの凶暴さからアース神族はダークエルフの住処にあった足枷グレイプニルを手に入れ縛り上げてしまいました。

ヨルムンガンドは毒蛇の怪物で他の呼び名としては、ミドガルズオルム、ミズガルズの大蛇、世界蛇などがあります。神々の脅威となることを予見した主神オーディンが、ヨトゥンヘイムで育てられていたヨルムンガンドを連れてこさせ、海に捨ててしまいました。しかしヨルムンガンドは海の底に横たわったままミズガルズを取り巻き、さらに自分の尾をくわえるほど巨大な姿に成長したのです。

ヘルは3人目の子で半身が腐っていました。オーディンによって兄弟達同様に遠隔地であるニヴルヘイムへ追放されてしまいます。ただ他の子とは違いオーディンはそこに九つの世界において名誉ある戦死者を除く、疾病や老衰で死んだ者達や悪人の魂を送り込み、彼女に死者を支配する役目を与えました。その地は彼女の名と同じくヘルまたはヘルヘイムと呼ばれるようになります。北欧神話の中で唯一、死者を生者に戻すことができる人物です。また、ガルムという番犬を従えていました。

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ヘルとガルム

こうやって羅列してみるとロキ自身もさることながら、子供達の今日での影響力は計り知れないですね。

 ロキの悪戯

ロキのとある一幕での嗤い話。トールの妻のシヴはそれは美しい金色の髪を持っていました。ロキは人気者や他人の長所を疎ましく思う性質だったものですから、悪戯のつもりでシヴがうたた寝をしている隙に彼女の髪を刈り取って丸坊主にしてしまいます。

シヴは嘆き悲しみ、トールは自慢にしていた妻が侮辱された事を知り、怒りのままに彼を追い回し殺そうとしたものだから、オーディンが仲裁に入り「全く同じ金髪を持ってくること」をロキに約束させてトールの怒りを沈めた。

その後ロキはドヴェルグ族のイーヴァルディという鍛冶屋とその息子たちにそれを被ると頭にくっついて本物の髪の毛になってしまうという本物の黄金から作られたかつらを打ち出してもらう。イーヴァルディたちは炉の火が残っていたのでおまけで魔法の船スキッドブラドニールと魔法の槍グングニルを作った。

これにオーディンやトール、シヴは大変満足し、ロキは「イーヴァルディとその息子達は最高の鍛冶屋」と吹聴して回る。

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シヴと髪を狙うロキ

この噂を聴いた同じドヴェルグであるブロック・エイトリ兄弟は「我々の方が優れている」と反抗するとロキは彼らと首を賭け鍛冶勝負に発展した。このことにより兄弟は別の宝物の黄金の毛を持つ猪グリンブルスティ、黄金を生み出す腕輪ドラウプニル、雷神トールの武器となる金槌ミョルニルを打ち出した。

神々はこれに満足し兄弟の勝利を言い渡したが、ロキは「この首に触れずに首を落とせるならくれてやる」となんとも言えぬトンチを披露し兄弟はその首を諦めた。

ロキの馬の子

ロキのとある一幕での笑い話。アース神族がミズガルズを造りヴァルハラを建てるなどして暮らし始めたある日、石工に変装した巨人がやってきて神々に提案を持ちかけます。石工は強く、高い、新しい壁を建ててアースガルスを囲むかわりに、月と太陽を手に入れ愛と美の女神フレイヤと結婚したいと要求した。

これに対し神々は大いに反発したが、ロキの助言により石工が誰の助けも借りずに冬至から夏至の間、約半年を期限に壁を完成させたら報酬を支払うが、もしその間に壁を完成させられなければ報酬は無効とするという対案を提示します。石工はこれに対して彼の魔法の馬、スヴァジルファリを使っても良いならばという条件で承諾しました。

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石工とスヴァジルファリ

冬の初めの日から壁の建設が開始されました。スヴァジルファリは巨大な石を運んで石工以上に目覚しい活躍をしたのです。そして夏の始まる数日前、壁が完成に近づいた頃、このままでは期限内に壁が完成してしまう事に対し、神々は条件について助言をしたロキに責任を取るように命じます。そこでロキは美しい雌馬に化けてスヴァジルファリを誘惑しスヴァジルファリはロキを追いかけて作業を放り出してしまいました。

これにより作業は遅延し、期限に間に合わないと悟って石工は本来の巨人の姿を現したので、雷神トールはミョルニルを手に巨人を打ち倒しました。その後、ロキとスヴァジルファリの間に生まれた馬がスレイプニールであり。この馬はオーディンに献上されました。

あとがき

 

ロキの記事を作成するに当たって書く前から構成を決めていたにも関わらず幾度となく手が止まりました。ほんとにこれでいいのだろうか?と。好きなキャラクターについて書く際にそのキャラクターの魅力を損なっていないか、そこばかり気になります。

題名ひとつとってみても遺憾なく脳をフル回転させ考えました(結局このあとがきを書き終えるまで決めることはできませんでしたが)

私がロキを初めて知ったのは「ヴァルキリープロファイル」とういうゲームをプレイした時です。その作中でもまさにトリックスターとして描かれており、まさかこいつが!?と思わせてくれた事が記憶に鮮明に刻まれています。

ロキはしばしば火の神とも呼ばれます(サムネ画像はその様子です)が、あのゲーム内ではなるほど納得できました。このように私の中で「ロキ」という神はどうしてもあのゲーム内のキャラクターとしてのイメージが強かったのです。

ですからロキは最期に迎えるラグナロクに深く関わり、直接的な原因なのだとばかり思っていました。しかし神話について学んでいくうちに、その考えは間違っていることに気づきます。時系列的におかしかったのです。

周囲の登場人物の生存状況等から考えると、むしろロキは意外にも早い段階で表舞台から姿を消すことになります。ですから私がここで描く北欧神話の世界でもロキを早い段階で紹介する必要があったし、時系列的に話が錯誤しないよう、また先の展開をネタバレしすぎないように考慮する必要性が生まれました。

そう、つまり今はまだ語りたくても語れない部分が多すぎることへのもどかしさと、それを踏まえて好きなキャラクターの魅力を最大限引き出そうとしている自分との葛藤で手が、止まるのです。

この約600文字ものあとがきは、私の愛そのものです。(笑)

 

最後まで読んでいただきありがとうございます!ではまた♪

 

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※神話の内容につきましては諸説あります。この記事の内容はあくまで私の得た知識から成り立つものとなりますのでご了承くださいませ。